国際税務の年収は?【税理士の転職の給与事情】

国際税務業務へ転職したら年収はどれくらい?

海外進出する会社や海外取引がどんどん増加する昨今、国際税務の需要も高まっているので、興味がある人も多いですよね。なんか「国際税務」の仕事って響きもかっこいいですし(笑)そして、やっぱり “お金” の話は気になるところ。。。「いくらぐらいもらえるんだろう?」「将来的に稼げるんだろうか?」というのは、とても重要な部分ですね。

ぶっちゃけ国際税務業務に転職できれば、今より給与が上がる人がほとんどだと思います。
年収は、スタッフでも500万円前後キャリアを積めば1,000万円を超えてきますし、需要が底堅い分野でもあります。

Big4監査法人→Big4コンサルを経て、わたしが税理士業界での転職先を検討していた際も、「国際税務分野」は有力候補の1つでした。

国際税務の税理士法人の年収は、
スタッフ500万前後、シニアスタッフ700万前後

国際税務をメインに扱う税理士法人や部署の年収の目安は、役職別に以下のとおりです。
マネジャー未満(スタッフ・シニアスタッフ)だと残業代もつくので、だいたいスタッフで500万円前後シニアフタッフで700万円前後くらいになると思います。

【国際税務の年収(目安)】
役職 年収(目安)
スタッフ 450万円~
シニアスタッフ 650万円~
マネージャー 800万円~
シニアマネージャー 1,200万円~
パートナー 1,500万円~

給与水準が高い理由は、グローバル化により需要は増えているにも関わらず、人材不足のため希少性が高いことと、国際税務対応を必要とするクライアントに大企業が多く報酬単価が高いことが挙げられます。

実際に、下記のような年収の求人オファーが、簡単にネット検索するだけでヒットします。(ただし、転職エージェントの非公開案件の方が条件がいい場合あり)

出典:ジャスネットキャリアHP 求人検索結果

【結論】
受験者が減って業界全体的でも人材が不足しているので、国際税務メインの法人や部署であれば、スタッフは500万前後、シニアフタッフは700万前後という給与のトレンドは今後も大きくは変わらないと考えられます

ルーティン業務の税理士事務所との比較

上記の国際税務の給与水準をみて、自分の現状よりかなり高いと感じる人も多いと思います。実際、法人申告などをメインにする一般的な税理士事務所と比較すると、150〜200万円程度の差が出てくるようです。
また、今後は稼げる業務と稼げない業務の二極化がさらに進むことが予想されます。

【一般の税理士事務所との年収比較】
役職 一般の税理士事務所 国際税務
スタッフ 300万円〜 450万円~ ▲150万円
シニアスタッフ 450万円〜 650万円~ ▲200万円
マネージャー 600万円〜 800万円~ ▲200万円
マネージャー 所長・役員が該当
(役員報酬設定による)
1,200万円~
マネージャー 1,500万円~

なぜなら、ITやAI導入などにより、一般の税理士事務所がメイン業務とする記帳代行や申告書作成業務は限りなく自動化されるでしょう。一方で国際税務業務は、自国のみで完結できず、他国とのやり取りが発生します。また、条文解釈やロジック構築も必要なので定型的な対応ができません。それゆえに、自動化が困難であり、高単価が維持できるのです。
また、参入障壁が高いことも要因の1つです。国際税務に強い事務所は、国際ネットワークやアライアンスを結んでおり、高いレベルのサービスを提供しています。このようなインフラを個人や小規模な事務所で構築することは現実的ではありません

例えば、相続税分野がいい例です。
10年前までくらいは特化している事務所が少なく、単価が高い、おいしい仕事の代表でした。しかし、相続税の単純な申告自体はそれほど難しくなく、業務提供にあたってインフラ構築が不要であり参入障壁が低いため、大量の税理士が参入し、単価が大幅に下落しました。

【結論】
これらを踏まえると、年収の安定性に加えて、将来の安定性の観点からも、国際税務分野は優良な選択肢といえると思います。

一般企業との比較

税理士業界の給与は平均年収と同等か、それより低いことが多いです。専門知識が求められ、その習得に税理士試験の勉強時間も含めて、多大な時間と労力を費やしているにも関わらず、待遇はあまりいいとは言えません
しかし、国際税務分野であれば、一般企業の平均年収と比較してもはるかに高く、給与水準の高い大会社と遜色ないレベルが実現できます

具体的に、東京都の年代別平均年収と国際税務の年収(目安)を比較してみました。
給与水準の高さと、年齢とともに専門性を磨くにつれ年収差が大きくなることが、見て取れると思います。

【平均年収との年収比較】
役職 年代 国際税務 平均年収(東京都)
スタッフ 20代 500万円前後 379万円 +121万円
シニアスタッフ 30代前半 700万円前後 508万円 +192万円
マネージャー 30代後半 800万円 601万円 +199万円
シニアマネージャー 40代 1,200万円 717万円 +483万円
パートナー 50代 1,500万円 801万円 +699万円
【結論】
国際税務分野は税理士の専門性が存分に活かせますし、経験を積むにつれて報酬UPも期待できます。

もちろん年収(付加価値)が高い業務は大変

ただし、年収が高い=付加価値が高い、ということなので、国際税務の仕事がハードなことは覚悟しておかなければなりません

申告などのルーティン業務は、慣れてしまえばあとは作業量との戦いですが、条文の解釈や、ロジック構築を伴う国際税務業務は、アプトプットの質が勝負となります。それを高い水準で実現するためには、税務の知識に加え、ロジカルシンキングなどのビジネススキルについても常に勉強が必要になってきます。

おそらく一般的な税理士事務所から国際税務の業務に転職した場合、その業務の進め方の違いに最初は戸惑うと思います。
私も以前、Big4系監査法人からBig4系コンサル会社に移った時、かなり戸惑いました。
監査業務は、基準に沿っているかの検証作業(記帳代行・申告業務に近い)だったのに対し、コンサル業務は、問題点を整理し、原因・対策を理論付けていく作業(国際税務業務に近い)なので、しばらくは何をどうしたらいいのか分からないような状態でした。。。

そんなことを言うと自分にできるかなと不安になるかもしれませんが、人間は揉まれていると成長するものなので本気で業務に向き合えば大丈夫です!
また国際税務に限らず、付加価値の高い業務しか税理士の仕事は今後は残らないと考えられるため、ルーティン業務からの脱却は今後この業界で生き延びるためには不可避とも言えます。

【結論】
国際税務は、ルーティン業務よりたいへんな側面はありますが、時間と労力を投資する価値のある業務領域だと思います。

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