20代のための税理士業界のキャリアプラン
20代といっても、①学生の方、②20代の前半か後半か、③受験中かどうか、の違いにより、キャリアプランは異なってきます。今回は、それぞれの方に対するオススメをまとめました。
学生・試験に専念できるの場合
学生や試験に専念できる場合は、会計士試験を活用して税理士資格をゲットするのがオススメです。
なぜなら、学生は勉強だけに集中できるまとまった勉強時間が確保できるのが大きな強みで、その場合、税理士試験より会計士試験の方が早く合格できる可能性が高いからです。
税理士試験は科目合格制なので、各科目の重要度が高く、また、受験生のレベルも高いため、マジメに勉強に取り組んでも5年は合格までにかかります。
会計士試験は総合判定なので、全体のボリュームは多いものの、得意な科目で不得意な科目をカバーでき、試験に専念できれば2年程度で取得することが可能です。
会計士試験合格後、税理士登録のために、2年間の監査法人での実務経験と修了試験に合格が必要ですが、監査法人は初任給が500〜600万円で待遇はよく、修了試験も約8割が合格する簡単な試験です。
税理士になるために会計士試験の勉強をするのは意味がないと思う人いるかもしれませんが、全くムダになりません。むしろ、他の税理士と差別化できます。
租税法はありますし、経営学や会社法などの科目も、中小企業に対するサービス提供のために必要な科目ものばかりです。
監査論(どのように監査をしていくかを学ぶ科目)だけが不要な科目ですが、幸いなことに、必要な勉強時間は非常に少ないです。
また、監査法人は、はじめての社会人生活をスタートする場として最適です。
学生は社会人経験がなく、最初に適切なビジネスの基礎を習得できるかで、今後に大きな影響を及ぼしますが、監査法人であれば、教育・組織体制ともに整っているので問題ありません。
また、クライアントも上場企業なので、企業の「あるべき姿」を知ることができます。これは将来的に中小企業を相手に様々なアドバイスをする上で、大きな強みになるでしょう。
在学中もしくは卒業のあと数年で会計士試験に合格すれば、ほぼ確実に20代の中盤で税理士になることができます。
なので学生の場合なら、税理士事務所などで働きながら税理士試験合格を目指すのに比べて、会計士試験の活用は大変有利で賢い選択肢だと個人的に思います。
20代前半の税理士試験を受験中の方
20代前半で働きながら税理士試験を受験中の場合、Big4税理士法人への就職がオススメです。
Big4も監査法人と同様に、教育体制が整っており、待遇もいいです。
また部署にもよりますが、繁忙期以外は余裕があるため勉強時間も確保しやすいと思います。
ただし、採用条件が他の税理士事務所よりも厳しく、基本は3科目合格からの所が多いです。 20代前半であればポテンシャルも考慮してもらえるので、2科目以下でも採用可能性はあると思います。
また、Big4税理士法人は、クライアントが大企業なので、経験できる業務が偏りが生じます。なので、独立を希望する場合は、他の税理士事務所をいったん挟む必要が出てくるでしょう。 とはいっても20代前半であれば、じっくり経験を積んでも問題がない年齢ですし、いろいろな税務分野を経験して自分の専門領域を模索するのにBig4は大変いい環境です。
多くの専門部署があり、部署間の交流も盛んなので、希望すれば他の部署に移動ができます。
また、大企業の税務処理が学べるも、あなたの非常に貴重な財産となるでしょう。
20代の早い段階で税理士になれれば、プロフィールとしてインパクトがありますから、あなたのブランディング、ずっと使えるアドバンテージになるでしょう。
Big4税理士法人であれば、職場環境も柔軟で、大学院免除制度も活用しやすいので、最大限に利用して少しでも早く合格することを最優先に考えましょう。
20代後半の税理士試験を受験中の方
20代後半で働きながら税理士試験を受験中の場合、特化型税理士法人へ就職がオススメです。
今の税理士業界は専門分野に特化して差別化を図ることが必須となってきています。
定型業務は、IT化により減少していき、また低単価化もどんどん加速することが確実なため、付加価値のある業務(事業承継や資産税、国際税務に強いなど)に特化して、価格競争を回避する戦略が必要です。
上記および税理士試験の合格が30前後になることを踏まえると、合格までの時期も、「独立時に提供したいサービスに直結した実務経験が積めるかどうか」を最優先に就職先を選択すべきだと思います。
また、20代前半の方と重複しますが、20代後半ならばなおさら大学院免除の積極的な利用をオススメします。
授業料が100万円以上かかりますが、将来の投資と捉えれば安いですし、独立が遅くなれば、稼げたはずのお金を損しているという意識を持つべきです。
5科目合格でないと業界内で不利という意見もありますが、独立したら全く関係ありません。
クライアントは、5科目合格か大学院免除かは知るよしもありませんし、興味もありません。 あなたが提供するサービスのみに興味があるのです。
業界内の人は「5科目合格」≧「大学院免除」の傾向がありますが、往々にして自分がしてきた苦労を正当化したいだけなので、無視しましょう。
20代で試験に合格済みの税理士の方
20代で税理士に合格している人はあまりいないと思いますが、もし合格しているのであれば、かなり有利だと思います。
基本的にどこにも転職できますが、独立したい場合は将来を見据えた事務所選びが大切です。
まとめ
- 学生・・・会計士試験を活用して税理士資格を取るのがオススメ
- 20代前半の税理士試験受験中・・・Big4税理士法人就職、大学院免除がオススメ
- 20代後半の税理士試験受験中・・・特化型税理士法人就職、大学院免除がオススメ
- 20代で試験に合格済みの税理士の方・・・独立がオススメ